遺言執行者とは
「遺言執行者」とは、遺言者に代わって遺言の内容を実現する事務処理者のことです。
遺言の内容によって、遺言執行者を必ず選任しなければならない場合(子の認知、相続人の廃除等)と選任が必要でない場合(相続分の指定、遺産分割方法の指定等)があります。
法的には選任が必須ではない場合でも、遺言の内容を確実に実現させるため、または相続人間のトラブルを避けるため遺言執行者を選任しておくことが望ましいケースがあります。
(原則として、遺言で遺言執行者を指定しておくことをおすすめしています。未成年者・破産者は遺言執行者となれませんが、第三者や相続人、弁護士なども指定可能です。)
遺言で遺言執行者を指定する
遺言で遺言執行者を指定するには、遺言の中に、「遺言執行者として以下の者を指定する」として、遺言執行者の氏名・生年月日・住所を記載します。また、遺言執行者が行うことができる事項(不動産移転登記手続、預貯金の解約・払戻し等)をセットで記載することが一般的です。
預貯金の解約
遺言執行者を指定することにより、遺言執行者が被相続人名義の預金を解約することができます。例えば、遺言で「遺言者は、遺言者名義の下記預貯金債権を、Xに相続させる。」とあった場合、下記に記載された銀行(A銀行とします)の預金債権はXに帰属することになります。
遺言執行者がZである場合、Zはこの遺言の実現のため、事実上この預金を管理している相続人等から通帳、印鑑などを預かって保管しつつ(A銀行に被相続人死亡を通知し、口座を凍結(停止)させておくことが必要なケースもあります。)、A銀行に対して解約+受取り方法の指定を行います。
金融機関によって手続の詳細は異なりますが、基本的には相続専用の問い合わせ窓口などが設置されており、問い合わせをすることで預金口座の停止や手続の詳細を知ることができます。
遺言執行者の義務
遺言執行者は単に遺言の内容を実現すればよいというわけではなく、民法に従って以下のような義務が課されていますので、これらを実施しなければなりません。
①直ちに任務を開始する義務(民法1007条1項)
②相続人に遺言内容を通知する義務(民法1007条2項)
③相続財産目録を作成し、交付する義務(民法1011条)
④報告義務(民法1012条3項、645条)
⑤善管注意義務(民法1012条3項、644条)
(参考)
(遺言執行者の指定)
第千六条 遺言者は、遺言で、一人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができる。
2 遺言執行者の指定の委託を受けた者は、遅滞なく、その指定をして、これを相続人に通知しなければならない。
3 遺言執行者の指定の委託を受けた者がその委託を辞そうとするときは、遅滞なくその旨を相続人に通知しなければならない。
(遺言執行者の任務の開始)
第千七条 遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならない。
2 遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。
(遺言執行者の欠格事由)
第千九条 未成年者及び破産者は、遺言執行者となることができない。
(遺言執行者の選任)
第千十条 遺言執行者がないとき、又はなくなったときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求によって、これを選任することができる。
(相続財産の目録の作成)
第千十一条 遺言執行者は、遅滞なく、相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならない。
2 遺言執行者は、相続人の請求があるときは、その立会いをもって相続財産の目録を作成し、又は公証人にこれを作成させなければならない。
(遺言執行者の権利義務)
第千十二条 遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。
2 遺言執行者がある場合には、遺贈の履行は、遺言執行者のみが行うことができる。
3 第六百四十四条、第六百四十五条から第六百四十七条まで及び第六百五十条の規定は、遺言執行者について準用する。
【執筆者プロフィール】
弁護士・税理士 真鍋亮平
(福岡県弁護士会・九州北部税理士会所属)
「相続」を専門分野として、紛争化した案件(遺産分割協議・調停・審判)だけでなく、遺言書作成・遺言執行、生前対策、税理士のご紹介、税務調査への対応まで一貫してサポートしています。お気軽にご相談ください。
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